当初、本部門は日本脳炎ウイルス、デングウイルスなど蚊媒介性フラビウイルスとそれらと遺伝子構造が類似しているC型肝炎ウイルスの基礎・応用研究を中心に進めた。日本脳炎ウイルスの病原性を遺伝子レベルで解析するために、全遺伝子配列を決定し比較解析を行った。全長ウイルスcDNAからウイルス粒子の再構築するリバースジェネティクス技術を用いて、病原性の原因となるウイルス因子について研究を進めた。
その後、新興感染症の流行に伴い研究対象を拡大してきた。ウエストナイル脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、ジカウイルスなどのフラビウイルスに加えて、チクングニヤウイルス、リフトバレーウイルスなどの蚊媒介性ウイルスが加わった。さらに重症熱性血小板減少症ウイルス(SFTSV)やダニ媒介性脳炎ウイルスなどマダニ媒介性ウイルス、そしてSARSやニパウイルスについても、疫学・診断・予防・治療法に関する研究を進めてきた。
1966年 | ウイルス部門として開設 |
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1993年 | 世界保健機関(WHO)から「熱帯ウイルス感染症の研究と資料収集」に関するWHO協力センターに指定(センター長 五十嵐章教授) |
1995~1998年 | 森田公一講師(当時)がWHO西太平洋地域事務局(WPRO)に感染症対策課長として赴任 |
1998~1999年 | 五十嵐章教授と森田公一講師がニパウイルス感染症に対するJICA専門家としてマレーシアに赴任し、ニパウイルスを分離 | 1999年 | 五十嵐章教授が野口英世記念医学賞を受賞 | 2002年 | 森田公一教授が、重症急性呼吸器症候群(SARS)に対するWHO専門家として東南アジア、中国(マカオ)にで対策チームに参加 | 2002年 | 森田公一教授が、重症急性呼吸器症候群(SARS)に対するWHO専門家として東南アジア、中国(マカオ)にで対策チームに参加 同年、ベトナム国立衛生疫学研究所と共同で、SARSウイルスを分離 |
2005~2010年 | WHO, UNICEF, JICA, AusAID, CDCなどと共同でフィジー共和国など大洋州の13か国の国と地域を対象とした大洋州予防接種強化事業に参加 | 2006年 | 森田公一教授をセンター長に、WHO協力センターに再指定 | 2004~2006年 | 長谷部太講師(当時)が新興感染症対策専門官としてWPROに赴任 | 2011~2017年 | JICA, JST(その後AMED)と共同で、ケニアにおける黄熱病対策や感染症サーベイランス強化事業を実施した。 |